それにしても、なぜ自慢のチャーシューを食ったのだろう。食われたのは煮豚の方で、原価でいうと二千円ほど掛かっている。何としても犯人を見つけ、二千円弁償してもらうぞ。いや今はお金の事など、どうでもいい。誰が何の為に食ったのか、が大事な焦点だ。
狭い厨房の中で開店準備をしながら推理を膨らませる。だが、犯人に結びつく何かは頭に浮かんでこない。当たり前と言えば当たり前の事で、私はただのラーメン屋の主だ。
この様な場面で当てになると言えば、まず警察。……いや、ダメだ、駄目! 警察に頼んでもチャーシューぐらいで本気の捜査はしないだろう。それに重要な事がある。私にも落ち度がある、という点だ。鍵を掛けずに店を離れていた事を突っ込まれると、何と対応するべきなのか……。
犯人を見つける、となるとやはり探偵か……馬鹿ばかしい、探偵なんて……確かにテレビで放送する探偵ドラマは、見事なまでに犯人を探り当て、逮捕に至る。だがそれは、作り物の世界だ。現実を知らない視聴者が喜ぶように作ってある。多くの人は探偵という職業の実体を知らない。
まず、探偵という業種は公に認められた身分ではない、と言える。その証拠に、誰でもが「私は探偵をしています」と言えば、それで探偵と称する事ができる。例えば国家としての試験がある訳ではないし、認定が必要なわけではない。ましてや届出が必要な訳でもない。その事実は中学生の頃から腐れ縁が続く、大友を見ているから知っている…一旦民間企業に就職をしたに続く。
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